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平成24年度考古学講座(後期第1回)を開催しました。

archaeologicalmeeting241208-thumb-400x267-258平成24年12月~平成25年2月にかけて全3回にわたって行う、平成24年度後期の考古学講座の第1回目を、12月8日に開催しました。

第1回目の講師は、東北芸術工科大学教授の田口洋美先生です。ご講演は、「越冬と越夏 – 狩猟採集民の食物保存戦略 – 」と題し、マタギの越冬と越夏の仕方を参考に、どのように縄文人のくらしをひも解いていくか、お話しをいただきました。

ご講演では、これまでのご研究で明らかにされた、新潟県三面をはじめとしたマタギの歴史や、マタギの狩猟採集の様子について詳しく解説されました。狩猟採集をして生活した人びとにとって、冬を越すことよりも、実は夏を越すことの方が大変だったのだとお話しされました。

一見、冬を越す方が難しいと感じるかもしれませんが、冬は動物を狩猟するシーズンであり、寒いので食べ物も日もちするようです。むしろ夏の方が、食物の確保や保存が難しく、生きのびるために様々な工夫が必要だったようです。

越冬が難しいとする考え方は、冬までに米などを収穫して貯める必要があった農耕民の考え方であり、現代の私たちには、こうした農耕民としての考え方が自然にそなわってしまっていると、ご講演で力説されました。縄文人のような狩猟採集民のくらしを明らかする時、この農耕民としての考え方を取り除いて、いかにものごとを見ることができるかが重要のようです。考古学研究にたずさわる私たちにとっても、とても刺激となるご講演でした。

次回は、平成25年1月26日(土)14:00からで、講師は東京大学大学院の辻誠一郎先生です。辻先生には平成23年度から八戸の古環境に関する研究を共同で取り組んでいただいており、今年度の研究成果についても、一部披露していただく予定です。次回もお聞きのがしのないよう、ぜひご参加ください。