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第2回考古学講座を開催しました

5月から7月にかけて3回連続で行う是川縄文館前期考古学講座の第2回を6月18日(土)に開催しました。

今回は、千葉市埋蔵文化財調査センターで縄文土器製作技術研究員としてご活躍されている戸村正己先生をお招きし、「縄文土器は如何にして作られたのか-その技術の探求-」と題してお話しいただきました。
ご講演では、まず土器製作に関する研究史についてのお話がありました。特に焼成温度実験などを行った戸村先生の恩師にあたる新井司郎氏の功績は大きく、土器製作研究の草分け的存在であったようです。
その後は、土器作りの基本的な分類や、用いられる道具についてご解説いただくとともに、先生が行った、土器片から成形技法を読み取るご研究の成果についてもお話しいただきました。このご研究では、2,500片に及ぶ一遺跡から出土した土器片の断面をつぶさに観察し、どのように粘土が積み上げられたのかの調査を行うことで、一つの土器でもその形や部位によって成形技法の使い分けが行われていることが判明したとのことです。
そのほか、土器製作実験などのご研究の成果をもとに、施文のタイミングや縄文人が土器を作るときの視座、注ぎ口が付いた土器での注ぎ方についてなど、さまざまな視点でのお話しをうかがうことができました。参加者の中には実際に土器作りをご経験された方が多く、長年にわたって土器作りに励んでいる先生のお話しに熱心に聞き入るだけでなく、講演後先生の元へ直に質問に行く方も多くいらっしゃいました。

次回は7月9日(土)の開催です。
東京大学総合研究博物館の宮田佳樹先生をお招きし、「土器に残された煮炊きの痕跡-土器残存資質分析から考える古代の調理-」と題して、縄文土器の表面に残された炭化物等からわかることについてお話しいただく講座です。
是非ご参加ください!